2015年2月2日月曜日

“日本の伝統色”って、ご存知ですか?

淡く、やわらかなピンクを表す「珊瑚色」。
海と空が持つ、美しく深みある青緑を表現した「青碧」。
夕陽に染まった鮮やかな空が思い浮かぶような「茜色」。
このような色の名前は“日本の伝統色”と呼ばれ、
日本画や着物などの色彩として使われてきました。

同じ赤でも、なんと10種類以上の繊細な色彩があって、
それぞれに素敵な名前が付けられているんです。
四季折々の自然の情景に美しさを感じ、
それを色の名前として楽しんできた
日本人の“粋”な美意識を感じることができます。

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さて、年明けの18日~20日の間、
神楽坂の「ギャラリー&カフェ 帝(MIKADO)」で開催された
余宮さんの個展“あそび初め”。

“あそび初め”の名の通り、
ユニークな形、さまざまな色合いと質感の作品たちは
余宮さんご自身も楽しみながら作られたという、心躍る作品ばかり!
曰く「ちょっと遊びすぎたかもしれない(笑)」とのことでしたが、
ギャラリーが本当ににぎやかで福々しい雰囲気になった数日間でした。

余宮さんも189日とギャラリーに在廊され、
その期間中に、直接お話をお聞きすることができました。

「窯を開けた瞬間に
自分でもハッとするような色の作品が生まれることがあるんです。
それはまさに、窯の中の土と、火と、灰の力が生み出してくれる、自然の宝物。 
そういう作品には必ず、その力をまっすぐ引き出してくれるような
“名前”をつけるようにしています」


ただ見た目の色合いだけを言葉にするのではなく、
そこから発想される自然の情景、動物の姿……
そういった“シーン”が目に浮かぶような素敵なネーミングなんです。
例えば、月の青白さや小川のせせらぎの透明感をイメージさせる「月白(げっぱく)釉」。
月白(げっぱく)釉鎬輪花6寸鉢

カナリヤの美しくやわらかな羽の動きを感じさせる「金糸雀(カナリヤ)釉」。

金糸雀(カナリヤ)釉飯碗


驚いたのは、「こういう名前にしよう」と言葉を選んだ後に調べると、
偶然にも日本の伝統色に通じる表現だったということ!
まさに日本人が古来から大切にしてきた
自然の情景の美しさを愛でる感覚そのものが、
余宮さんの中から不思議と湧き上がってきた、ということなんだと思います。

焼き物が、
古くから常に人間の「文化」とともにあったこと。
人々の手を経て、心を動かし、今の時代まで受け継がれてきたこと。
そんな不思議なロマンに感動してしまった、素敵なインタビュー時間でした。

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余宮さんの個展は終了しましたが、
引き続き、右都和サイトやギャラリーでも作品をご紹介しています。
色合い、形、質感……使うほどにうれしい発見のある
余宮さんの器、ぜひお楽しみいただければと思います。

作品についてお聞きしたお話、詳しくはこちら


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